ある女性が急性の心臓疾患で救急病院に運ばれてきました。 手当てをした医師
や看護師は「もうダメだ」と思いました。 心電計はもう反応しないのです。 形式だ
けの心臓マッサージが行なわれました。すると心電図にかすかな反応が出てきまし
た。その後はみんなやる気になって看護し、その女性は奇跡的に助かったのです。
女性は医学的に信じられない行動を何度か示しました。 たとえば血圧が極端に
下がっていて、意識があるはずはないのに医師の白衣をつかんで「助けて」と言っ
たりしたのです。 病院の人間はその生命力に驚嘆させられたと言います。 後で
わかったことですが、女性は病気の母親を抱えていて「いま死ぬ」わけにはいかな
かったのです。
似た話をマーフィー博士が報告しています。 街路で心臓発作で倒れ、救急車で
病院に運ばれてきたその男は、誰の目にも助からないと映りました。 意識はあっ
たので医者は率直に「二、三時間以上はは持たないでしょう」と患者に言いました。
そう知らされた患者は必死にこう言ったというのです。
「先生、私はまだ生きなきゃならないのです。 二人の息子が私を必要としているか
らです。 私は死ぬつもりはありません」
そして、この男は入院後十日で正常な心臓機能を回復し、退院しました。
生への強い意志を持つ人は、自己の内部から、とてつもない回復力を引き出すよ
うです。 博士は「建設的なビジョンが彼を持ちこたえさせ、強い愛情が彼の全身
を変え、再び丈夫に完全にした」と言っています。
ここで注目すべきことは、二人とも強い愛情の対象を持っていたことです。 この
事実は必ずしも自分の命に執着したのとは違うことを物語っています。 もし自分が
生への妄執(もうしゅう)から「死にたくない」と思ったのでは、これほどの自然治癒
力は生まれなかったのではないでしょうか。
自分が生きたいのは、強い愛の対象が存在するためだったのです。 ご紹介した
例は、たまたま愛の対象が自分の家族になっていますが、この考えを拡大していけ
ば人類への愛情へとつながります。 つまり外へ向けられた愛情が、偉大なパワー
を発揮すると考えられるのです。 人のために尽くすことが、いかに自分の命や健
康にとって有益か、これでおわかりになると思います。
マーフィー 運がよくなる魔法の練習帳 マーフィー理論研究会 編著
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