私たちは「こうなりたい」というさまざまな願望を持っています。 しかし、ほとんど
の人はその願望を本気で実現しようとはしません。 「……であったらいいな」止まり
です。 なぜかと言えば願望を実現する方法がよくわからないからです。
クラブ歌手として成功した女性がマーフィー博士に自分の出世物語を語りました。
彼女は以前はウエートレスとしてクラブで働いていました。 彼女は歌が好きでよく
歌っていました。 彼女の歌を聞いた友人の多くは、彼女に歌手になる才能がある
ことを認めていたそうです。
しかし、ここまでならよくある話です。 実際、人間の才能は計り知れないほど大き
いものがあります。 歌手でもギター弾きでも、絵描きでも小説家でも、巷には一流
と呼ばれる存在になるだけの才能を秘めた人間はいくらでもいます。
ただ大半の人は、その才能を秘めたままで終わってしまいます。 自分の才能に
気がつかない場合もあるし、気がついても磨く方法を知らない人が多いのです。
ごく一部の人だけが何かのきっかけで「どうすればよいか」を知るのです。 若い
ウエートレスの場合は幸運にもマーフィー博士の本だったのです。
ある日、お客からもらった一冊の本。 それが『眠りながら成功する』(三笠書房
刊)でした。 彼女はその本に書かれていることが、自分の夢を実現する有益な
方法であることに気がつき、書かれているテクニックを早速実践したのです。
毎晩、眠りに入る前の十分間、彼女はステージに立ち、歌っている自分を想像し
たのです。 回を追うごとにそれは細部にまでわたり鮮明になつていきました。
聴衆は彼女に喝采を浴びせ、友人たちは彼女と知り合いであることに誇りを感じて
いるかのようでした。
彼女自身もそんな自分を誇らしく思うようになりました。 こうなると、もう現実と
想像の区別は、彼女の内部では曖昧です。 ただ一つ残されていたのは、彼女が
現実のステージに上がることだけでした。
この状態が感情とイメージの同一化ということです。 想像のステージに上がるよ
うになつて三週間、彼女には本当の舞台に上がるチャンスが訪れ、短期間に自分
の夢を実現することができたのです。
マーフィー 運がよくなる魔法の練習帳 マーフィー理論研究会 編著