御家庭の幸せを願う印鑑『吉相印』

　　誰かを、自分好みの人間につくり替えようという試みはことごとく失敗します。 マーフィー博士のこの言葉は、そのような努力が何の効果もないばかりでなく、かえ って人間関係を破滅に導くことを示唆しています。　ところが、世の中には自分に自信 を持ち、パートナーを自分と同じ人間に仕立てようとする人が大勢います。 別れの原因の一つに「性格の不一致」があります。　この原因で別れる人のほとん どは、パートナーの性格を変えようとして失敗した結果なのです。　いくら努力しても 相手の性格は変わらず、それでお互いの心が離れ、別れにいたるのです。 人は生まれも育ちもそれぞれ違います。　そういう人間が一緒になるのですから、 そもそも性格が一致することのほうがおかしい。　パートナーの性格を変えようとす る人は、そのおかしなことを始めようという人なのです。　これは一体どうしてでし ょうか。　それは二つの大きな思い違いが原因です。 一つは、いま言った「他人を変えられる」と思うことですが、実はもう一つ大きな 誤りがあります。　それは変えようとする自分のほうに「正当性がある」と思い込ん でいることです。　たとえば、彼が浪費家で困っている女性は、「浪費はよくない。 改めるのが正当だ」と思って、これを直そうと思います。　これが人の心理です。 ですが、その場合、自分が行きすぎたケチであることには案外気がつかないので す。　他人への批判めいた気持ちがでたとき、よく注意する必要があるのはこの点な のです。　あるいは、自分の中に相手と同じ要素が潜んでいる。　そのため、相手の ように自分も浪費したいのだが、それができないので相手を変えようとし、自分に正 当性があると思い込んでいるのです。　他人の欠点が気になって仕方がないとき、 自分がその反対の行きすぎた性格ではないか、あるいは自分の中にも同じ要素が ないか、徹底して探ってみることです。　謙虚な人なら多分、自分がどちらかである ことに気がつくはずです。自分の中にそういう要素を見つけたとき、他人を変えよう とする試みは、「こうあってほしい」という願いに変わるはずです。　祈りに変わったとき 、その思いはプラスになって通じ、相手が自分のほうから「変わろう」と思うようになるのです。 これが他人を正しく感化する唯一の方法と言えます。

　　　　マーフィー　運がよくなる魔法の練習帳　マーフィー理論研究会　編著