御家庭の幸せを願う印鑑『吉相印』

　１８. ��思いやりの接着剤〃で愛は長続きする！

　「怒りを覚えたら十数えてから反応しなさい」

　昔の賢人はこう教えています。　ところが、男女は一度近しくなると、どうしても遠慮が

　なくなってしまいがちです。　このことが二人の仲をどれだけ危うくしているか計り知れ

　ません。

　　たとえば、恋人時代に敬語を使っていた二人が、結婚すると敬語が省略される。

　「雅子さん」「友成さん」と呼び合っていたのが、「おい」「あんた」に変わる。これは

　親愛の情である場合もないわけではありませんが、できたらお互いに他人の部分を

　少しは残しておくのが、愛情関係を長続きさせるためには大切なことです。

　　なぜかというと、真実の愛情というものは、相手のどこかに「尊敬の念」がないと

　長続きしないからです。　「この人はこんなに素晴らしいところがある」「あの人はこう

　いうところが立派だ」　お互いがこういう気持ちを持ち続けることが必要なのです。

　　相手を好きになり、愛情を持つに至る背後には、容貌、性格、能力、財産、家系、

　教養、優しさなど、いろいろの要素があります。これらの要素のどれかに惹かれてい

　ることが、愛を感じることにつながっていることが多いわけです。愛情の背景にある

　のは「尊敬」なのです。

　　そこで尊敬する第三者に接するときのあなたを思い起こして見てください。　かりに

　その人から、普通だったらムッとするようなことを言われたとします。　そのとき、あ

　なたはすぐに反応するでしょうか。　ショックかも知れませんが、尊敬する人の前で露

　骨にイヤな顔をしたりはしないはずです。

　　その気持ちを愛し合う二人の間でも保ち続けることが必要なのです。「親しくなれ

　ばなるほど礼節をわきまえるのが理想の人間関係である」と作家の三島由紀夫は言

　いました。　なぜなら、親しくなるにつれて、相手の弱みや秘密を握ることになるから

　です。

　　とくに結婚した二人の関係は相手の弱み、秘密を握るという点では人間関係の極

　限と言ってもいい関係です。　その二人が何の心配も不安もなく、真の親しさを継続

　するには、「礼節」という接着剤がどうしても必要なのです。　この事実に気がつかな

　い人が意外に多いのです。